情報確認日:2026年10月27日(確定申告が必要な人の条件・20万円の判定を国税庁の資料で確認)
「副業は20万円以下なら確定申告しなくていい」と聞いたことはありませんか? この言葉だけを覚えていると、“売上20万円”と勘違いしたり、住民税の申告まで不要だと思ったりしやすくなります。
実際には、会社員の副業には「所得税の確定申告」と「住民税の申告」という別々の話があります。さらに、副業が業務委託なのかアルバイトなのかでも20万円の判定方法が変わります。
一般的な会社員が、業務委託などで得た副業の「所得」が年間20万円以下なら、一定の条件のもとで所得税の確定申告が不要になることがあります。
ただし、20万円は原則として「売上」ではなく収入から必要経費を引いた所得で判定します。そして、所得税の確定申告が不要でも、住民税では申告が必要になる場合があります。
つまり、「副業20万円以下=何もしなくていい」ではありません。
副業20万円ルールとは?
国税庁は、給与を1か所から受けていて、その給与が源泉徴収の対象となる人について、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える場合などに確定申告が必要と案内しています。
逆にいえば、一般的な会社員で本業の年末調整が行われ、その他の条件も満たしている場合、給与・退職所得以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告をしなくてよいケースがあります。
国税庁の基準は「20万円を超える」とされています。そのため、ほかの条件を満たす場合は、20万円ちょうどであればこの基準だけを理由に所得税の確定申告が必要になるわけではありません。
給与収入が2,000万円を超える人、給与を複数の勤務先から受けている人、源泉徴収されない給与がある人などは判定が異なります。
20万円は売上ではなく「所得」で見る
ブログ収益、アフィリエイト、原稿料、動画制作、デザイン、業務委託などの副業が雑所得などに該当する場合、20万円判定で重要なのは、原則として収入そのものではなく「所得」です。
国税庁は、業務に係る雑所得について「総収入金額-必要経費」で計算するとしています。
| ケース | 副業収入 | 必要経費 | 副業所得 | 一般的な判定 |
|---|---|---|---|---|
| A | 12万円 | 2万円 | 10万円 | 20万円以下 |
| B | 30万円 | 12万円 | 18万円 | 20万円以下 |
| C | 30万円 | 5万円 | 25万円 | 20万円超 |
| D | 45万円 | 30万円 | 15万円 | 20万円以下 |
たとえば副業の売上が30万円でも、その収入を得るために直接必要だった経費が12万円なら、所得は18万円です。一般的な会社員の20万円判定では、この18万円を見ることになります。
必要経費にできるのは、その収入を得るために必要だった支出です。私生活の支出をそのまま副業経費にすることはできません。家事と共通する費用は、副業に必要な部分を合理的に区分する必要があります。
複数の副業がある場合は合計する
ブログで10万円、動画編集で8万円、別の雑所得が5万円あるから「全部20万円以下」と考えるのは危険です。20万円の判定では、対象となる給与・退職所得以外の所得を合計して確認します。
ブログ所得10万円 + 動画編集所得8万円 + その他雑所得5万円 = 合計23万円
それぞれは20万円以下でも、合計では20万円を超えます。
副業がアルバイトなら判定方法が違う
副業先と雇用契約を結び、アルバイト代として給与を受け取っている場合は注意が必要です。
給与を2か所以上から受けている人について、国税庁は原則として、年末調整されなかった給与の「収入金額」+給与・退職所得以外の所得金額が20万円を超えるかどうかなどで判定するとしています。
業務委託などの副業では「収入-必要経費=所得」を見るケースが一般的ですが、副業アルバイトの給与は、単純に「アルバイト収入から交通費や服代を引いて20万円以下にする」という考え方ではありません。
| 副業の形 | 例 | 20万円判定で主に見る数字 |
|---|---|---|
| 業務委託・継続的な副収入など | ブログ、原稿、動画編集、デザイン等 | 所得(収入-必要経費) |
| 別の勤務先から給与を受ける | 飲食店、コンビニ、単発バイト等 | 年末調整されなかった給与の収入金額等 |
「20万円以下なら何もしなくていい」は間違い?住民税は別
ここが最も見落としやすいポイントです。
所得税には、一定の給与所得者について副業所得が20万円以下なら確定申告を不要とする制度があります。しかし、住民税には同じ20万円ルールがありません。
たとえば横浜市は、給与以外の副収入が年間20万円以下で所得税の確定申告をしなくてよい人でも、住民税では給与所得と合算して税額を計算するため、ケースによって申告が必要になると案内しています。千葉市も、給与所得者で給与以外の所得が20万円以下のため所得税の確定申告が不要な場合でも、市民税の申告が必要と案内しています。
所得税の確定申告をする → 通常は住民税だけを別に申告する必要はない
20万円以下などで所得税の確定申告をしない → 住民税の申告が必要か自治体で確認する
住民税の申告方法・期限・電子申告への対応状況は自治体によって異なるため、住んでいる市区町村の公式サイトで確認してください。
副業所得で税金はいくら増える?
「申告が必要なのは分かった。でも実際いくら税金が増えるの?」という疑問も出てきます。
住民税の所得割は標準的には合計10%です。たとえば、すでに住民税が課税されている会社員で、追加の副業所得がそのまま住民税の課税所得を増やすと仮定すると、増える住民税の目安は次のようになります。
| 副業所得 | 住民税所得割の増加目安 |
|---|---|
| 10万円 | 約1万円 |
| 15万円 | 約1万5,000円 |
| 20万円 | 約2万円 |
| 25万円 | 約2万5,000円 |
| 30万円 | 約3万円 |
ただし、実際の住民税は所得控除、税額控除、非課税基準、自治体の取扱いなどの影響を受けるため、上表は単純な目安です。
20万円を超えて所得税の確定申告が必要になった場合
所得税は年収そのものに一律で税率を掛けるものではありません。給与所得控除や各種所得控除などを差し引いた課税所得に応じて、5%~45%の累進税率が適用されます。
下表は、副業所得の全額が同じ所得税率帯に収まり、住民税所得割10%、税額控除などを考慮しない場合の概算です。2026年分については所得税額に2.1%の復興特別所得税を加えています。
| 副業所得 | 所得税率5%の人 | 所得税率10%の人 | 所得税率20%の人 |
|---|---|---|---|
| 25万円 | 約3.8万円 | 約5.1万円 | 約7.6万円 |
| 30万円 | 約4.5万円 | 約6.1万円 | 約9.1万円 |
| 50万円 | 約7.6万円 | 約10.1万円 | 約15.2万円 |
所得税率は年収ではなく、給与所得控除や基礎控除、社会保険料控除などを差し引いた後の課税所得で決まります。また、副業所得を加えたことで途中から税率帯が変わる場合もあるため、実額は確定申告書等作成コーナーなどで確認してください。
20万円以下でも確定申告するケースがある
1.医療費控除などのために確定申告する
これは特に重要です。
国税庁は、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下で本来は確定申告不要でも、医療費控除などを受けるために確定申告を行う場合は、その20万円以下の所得も含めて申告する必要があると案内しています。
副業所得15万円 → 20万円以下なので通常は所得税の確定申告不要
しかし、医療費控除を受けるため確定申告をする → 副業所得15万円も申告書に含める
2.副業報酬からすでに所得税が源泉徴収されている
原稿料など、一部の報酬は支払時に所得税等が源泉徴収される場合があります。
そのため「20万円以下だから確定申告不要=所得税が一切かかっていない」とは限りません。すでに税金が差し引かれているケースもあります。
確定申告をすることで精算の結果、還付になる場合もあれば追加納税になる場合もあります。還付を受けるために確定申告をするなら、20万円以下の他の所得も含めて申告します。
3.20万円ルールの前提を満たしていない
給与収入が2,000万円を超える、複数の給与がある、源泉徴収されない給与があるなど、状況によって確定申告の判定は変わります。
「副業が20万円以下」という一点だけで判断しないことが大切です。
会社員が年末までにやること
- 1月1日~12月31日の副業収入を集計する
振込履歴、売上管理画面、支払調書などを確認します。 - 必要経費を整理する
副業収入を得るために必要だった支出の領収書・明細を残します。 - 「給与」か「業務委託等」かを確認する
副業アルバイトと業務委託では20万円判定の考え方が異なります。 - 副業所得を計算する
業務に係る雑所得などなら「収入-必要経費」で所得を確認します。 - 所得税の確定申告が必要か判定する
20万円だけでなく、本業の給与や他の所得、医療費控除などの申告予定も確認します。 - 確定申告をしない場合は住民税申告を確認する
住所地の市区町村の公式サイトで手続き方法を確認します。
売上=自由に使えるお金ではありません。税金が後から発生することを考え、利益の一部を税金用として別に残しておくと安心です。
急な支出に備える現金もまだ十分でない場合は、投資や副業利益の使い道を決める前に、生活防衛資金はいくら必要?一人暮らしの計算例も参考にしてください。
よくある疑問
Q.副業所得が20万円ちょうどなら?
国税庁は「20万円を超える」場合を確定申告が必要なケースとして示しています。一般的な条件を満たす会社員なら、20万円ちょうどはこの基準だけで確定申告が必要になるわけではありません。ただし住民税の申告は別に確認します。
Q.副業の売上が30万円あったら確定申告確定?
業務に係る雑所得などであれば、売上だけでは判断できません。たとえば売上30万円、必要経費12万円なら所得は18万円です。ただし副業が給与の場合は考え方が異なります。
Q.副業を2つやっていて、それぞれ15万円なら?
別々に20万円を見るのではありません。20万円判定の対象となる所得を合計して確認します。
Q.20万円以下なら税金そのものが免除される?
いいえ。20万円ルールは一定の給与所得者についての所得税の確定申告不要制度です。住民税の申告や課税まで免除する制度ではありません。
Q.確定申告をしたら住民税の申告も必要?
所得税の確定申告書を税務署へ提出した場合、その内容は自治体にも連携されるため、通常は同じ所得について住民税申告書を別に提出する必要はありません。自治体独自の確認事項がある場合は住所地の案内を確認してください。
副業20万円以下=何もしなくていい、ではありません。
まず、副業が給与なのか業務委託などなのかを確認します。業務に係る雑所得などであれば「収入-必要経費」で所得を計算し、対象所得を合計して20万円を超えるか確認します。
そして、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。副業を始めた会社員は、年末までに売上と経費を整理し、翌年の申告前に自分の自治体の住民税ルールまで確認しておきましょう。
- 国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」
- 国税庁「雑所得」
- 国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人(Q&A)」
- 国税庁「所得税の税率」
- 横浜市「給与以外に副収入がある場合の住民税の申告」
- 千葉市「個人市民税」
- 千葉市「個人市民税所得割の税額の計算方法」
※本記事は一般的な税制度の情報提供を目的としています。実際の申告義務・税額は、給与の状況、所得区分、必要経費、各種控除、居住地などによって異なります。不明な場合は税務署または住所地の自治体へ確認してください。
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