固定残業代(みなし残業)の超過分と不足分を月給から計算する方法の解説画像

NEXT STEP LOG / 給料・転職

「みなし残業込み」の月給は、
3つの数字に分けて計算する。

  • 固定残業代は、決められた時間を超えた残業・深夜・休日労働の分を追加で払う必要があります
  • 超過分の目安は「固定残業代を除いた月給 ÷ 月平均所定労働時間 × 1.25 × 超えた時間」
  • 同じ月給25万円でも、月40時間残業すると固定残業の時間しだいで最大3.4万円差がつく例があります(仮の例)

情報確認日:2026年10月30日(固定残業代の求人での明示を厚生労働省のリーフレットで、超過分・差額の支払いと割増率を厚生労働省「スタートアップ労働条件」「確かめよう労働条件」で、時間外労働の上限を厚生労働省の働き方改革関連法の解説で確認)|給料・税金

求人票に「月給25万円(固定残業代30時間分を含む)」と書かれていると、残業が30時間を超えたらいくら増えるのか、そもそもその金額で30時間分が足りているのかが分かりにくいものです。事務・営業・販売・製造など職種を問わず、転職の求人でも今の給与明細でもよく見る書き方です。

この記事では、固定残業代(みなし残業代)を含む月給から1時間あたりの賃金を出し、超過分と不足分を自分で計算する手順を、20時間・30時間・45時間の早見表つきで紹介します。金額はすべて説明のための仮の例です。

固定残業代の計算に必要な3つの数字

厚生労働省のリーフレットでは、固定残業代がある求人では次の3つを明示するよう求めています[1]。この3つが、そのまま計算に必要な数字になります。

求人票で確認する3項目と、計算での使い方
求人票で明示する項目記載のイメージ(リーフレットの例)計算で使う場面
① 固定残業代を除いた基本給の額基本給(××円)(②の手当を除く額)1時間あたりの賃金を出す元になる
② 固定残業代の時間数と金額などの計算方法□□手当(○時間分の時間外手当として△△円を支給)足りているか(不足)の確認
③ 超えた時間外・休日・深夜労働は追加で支払う旨○時間を超える時間外労働分の割増賃金は追加で支給超過分の計算

スマートフォンでは表を横にスクロールできます。3つのどれかが書かれていない求人は、応募前や面接で確認しましょう。

もう1つ必要なのが1か月平均所定労働時間です。「1日の所定労働時間 ×(365日 − 年間休日)÷ 12」で出せます。この記事の例は、1日8時間・年間休日125日として 8 × 240日 ÷ 12 = 160時間 で計算します。

超過分の残業代の計算方法【3ステップ】

月給制の1時間あたりの賃金は「月給 ÷ 1か月平均所定労働時間」、時間外労働の割増は25%以上(月60時間を超えた部分は50%以上)です[2]。固定残業代は残業の対価として払われる部分なので、通常の労働時間の賃金とは分けて考えます[3]。

仮の例:月給25万円(基本給20万円+固定残業代5万円・30時間分)、実際の残業が月40時間

STEP 1 1時間あたりの賃金
200,000円 ÷ 160時間 = 1,250円

STEP 2 残業1時間あたりの単価
1,250円 × 1.25 = 1,562.5円

STEP 3 超えた時間分
(40時間 − 30時間)× 1,562.5円 = 15,625円(固定残業代5万円とは別に支払われる額の目安)

家族手当・通勤手当・住宅手当(一律支給ではなく、家族数や距離・家賃に応じて払われるもの)などは、1時間あたりの賃金の計算から除けます。この一覧にない手当(資格手当など)は、原則として計算に含めます[2]。自分の明細に手当がある場合は、その分も足して計算してください。

深夜(午後10時〜午前5時)は25%以上、法定休日は35%以上の割増です[2]。固定残業代が「時間外労働分」だけの場合、深夜や休日の割増は別に計算されます。今の職場で夜勤や休日出勤がある人は、残業代・夜勤手当の計算シミュレーターで時給から確かめられます。

固定残業20時間・30時間・45時間の早見表(月給25万円の場合)

同じ「月給25万円」でも、固定残業代が何時間分かで、1時間あたりの賃金と超過分が変わります。月40時間残業した月の総支給額を並べると、次のとおりです(説明のための仮の例。1日8時間・年間休日125日=月160時間、円未満は四捨五入)。

月給25万円・実際の残業40時間の比較
項目20時間分30時間分45時間分
基本給(固定残業代を除く)215,000円200,000円180,000円
固定残業代35,000円50,000円70,000円
1時間あたりの賃金1,344円1,250円1,125円
残業1時間の単価(×1.25)1,680円1,563円1,406円
固定残業の時間に必要な額33,594円46,875円63,281円
超過分(40時間残業の月)33,594円15,625円0円
総支給(40時間残業の月)283,594円265,625円250,000円

スマートフォンでは表を横にスクロールできます。3つの例はいずれも、固定残業代が「固定残業の時間に必要な額」以上になるように設定した仮の例です。

月給の見出しが同じでも、残業が多い月は20時間分の求人が45時間分より約3.4万円多くなります。反対に、残業がほとんどない月は3つとも25万円のままです。固定残業代の時間は「その時間までは追加で増えない」という意味なので、実際の残業時間と並べて比べることが大切です。

45時間分は、時間外労働の上限の原則と同じ水準

時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です(臨時的な特別の事情があり労使が合意した場合を除く)[4]。固定残業45時間分の求人は、その原則の上限まで残業がある前提の賃金設計とも読めます。応募前に、配属先の実際の残業時間(通常月と繁忙期)を聞いておきましょう。

固定残業代が足りないかを確認する計算

固定残業代の額が、法律どおりに計算した割増賃金の額を下回る場合は、会社はその差額を払う必要があります[3]。次の式で「固定残業代で実際にまかなえる時間」を出すと、不足に気づきやすくなります。

まかなえる時間 = 固定残業代 ÷(1時間あたりの賃金 × 1.25)

仮の例:基本給22万円+固定残業代4万円(30時間分と記載)
1時間あたり 220,000 ÷ 160 = 1,375円 → 残業単価 1,718.75円
まかなえる時間 = 40,000 ÷ 1,718.75 ≒ 23.3時間

記載は30時間分ですが、この計算では約23.3時間分にしかなりません。実際に30時間残業した月は、30 × 1,718.75 = 51,563円となり、固定残業代4万円との差の11,563円が不足する計算です。

会社によっては、手当の扱いや所定労働時間が違うため、計算結果がずれることがあります。不足が出たら「誤り」と決めつけず、給与規程や労働条件通知書で計算の根拠を確認する目安にしてください。

あわせて見たい:基本給が最低賃金を下回っていないか

固定残業代を大きくすると、そのぶん基本給が小さくなります。最低賃金と比べるときは、固定残業代などの時間外の賃金を除いて計算します。上の早見表の45時間分の例では、1時間あたり1,125円で、令和8年度の最低賃金の全国加重平均1,177円(厚生労働省)を下回ります。勤務地によっては最低賃金に届かない可能性があるため、月給制の最低賃金チェックの記事で都道府県ごとの金額と比べてください。

求人票・給与明細で固定残業代を確かめるチェックリスト

  • 固定残業代を除いた基本給の額が書かれている
  • 固定残業代が「何時間分・いくら」か書かれている
  • 超えた時間外・休日・深夜労働を追加で支払うと書かれている
  • 固定残業代 ÷(1時間あたりの賃金×1.25)が、書かれた時間数以上になる
  • 給与明細に、固定残業の時間を超えた月の「時間外手当」が別に載っている
  • 配属先の実際の残業時間(通常月・繁忙期)を確認した
  • 基本給÷月平均所定労働時間が、勤務地の最低賃金以上になる

面接・内定時の聞き方の例

「固定残業代は何時間分で、超えた分は毎月の給与で別に支給されますか。配属予定の部署の、通常月と繁忙期の残業時間の実績も教えていただけますか。」

聞きにくいときは、内定後に届く労働条件通知書で①〜③を確認する方法もあります。2社の求人を年間休日や賞与も含めて比べたい場合は、求人2社の比較シミュレーターに数字を入れると、実質時給の差が出せます。

よくある質問

残業が固定残業の時間より少ない月は、固定残業代が減りますか?

厚生労働省のリーフレットの記載例は「時間外労働の有無にかかわらず、○時間分の時間外手当として△△円を支給」という形です[1]。減るかどうかは会社の給与規程によるため、労働条件通知書で確認してください。

月60時間を超えたらどうなりますか?

月60時間を超えた時間外労働の部分は、割増率が50%以上になります[2]。上の30時間分の例で月70時間残業した場合、30〜60時間の30時間は1,562.5円、60時間を超えた10時間は1,875円(1,250円×1.5)で、超過分は合計65,625円の計算です(仮の例)。

計算して足りなかったら、どこに相談できますか?

まずは給与担当に計算の根拠を確認します。それでも解決しない場合は、厚生労働省の総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談できます[5]。

参考資料

  1. 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク 固定残業代の求人での明示に関するリーフレット
  2. 厚生労働省「確かめよう労働条件」残業・深夜・休日の割増賃金
  3. 厚生労働省「スタートアップ労働条件」固定残業代についてのQ&A
  4. 厚生労働省「働き方改革関連法解説(時間外労働の上限規制関係)」
  5. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

この記事は一般的な情報をもとにした計算の目安で、個別の労働条件や法的な判断を示すものではありません。金額はすべて説明のための仮の例です。実際の計算は勤務先の就業規則・給与規程・労働条件通知書を確認し、必要に応じて労働基準監督署などに相談してください。

この次に読むなら

Next Step Log運営者。会社員として働きながら、20〜30代の社会人に向けて、給料、税金、社会保険、貯金、資産形成、転職について、国税庁・日本年金機構・厚生労働省などの一次情報を確認して解説しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です