2026年版/贈与税・暦年課税
親から100万円をもらっても、必ず税金がかかるわけではありません。 ただし「110万円までは誰から何回ももらっても非課税」「教育費名目なら貯金しても非課税」は誤解です。
この記事は国税庁の2026年4月1日現在の法令解説をもとに、金額別の試算、親子間の税率、生活費・教育費の例外、申告・相続の注意点を整理します。情報確認日:2026年10月11日(10月27日に暦年課税の110万円が受け取る人ごとであることを国税庁で再確認)。
- 暦年課税の基礎控除は、受け取る人1人につき、1年の合計110万円。親や祖父母の人数分ではありません。
- 110万円を超えた部分は、原則として税率に応じて贈与税を計算します。
- 年初時点で18歳以上の人が父母・祖父母など直系尊属からもらう場合、特例税率が適用されるケースがあります。
- 通常必要な生活費・教育費を扶養義務者から必要な都度受け取り、直接支出する場合などは、110万円の枠とは別に非課税となることがあります。
根拠:国税庁 No.4402、4405、4408、4410(本記事末尾にリンク)
贈与税とは?親からお金をもらうときに関係する税金
贈与税は、個人から財産を無償でもらったときなどに、主として財産を受け取る人にかかる税金です。現金だけでなく、株式や不動産も対象となる場合があります。債務免除や保険料を負担していない生命保険金の受取りなど、形式上「プレゼント」でなくても課税対象となるケースがあります。
会社などの法人からの贈与は、贈与税ではなく所得税の対象になる点も重要です。贈与税の課税方法には暦年課税と相続時精算課税があります。本記事の計算表と具体例は、原則として暦年課税のみを対象にします。
出典:国税庁 No.4402
110万円の基礎控除は「もらう人」の年間合計
暦年課税では、1月1日から12月31日までに贈与によって取得した財産の価額を合計し、そこから基礎控除110万円を引いて税額を計算します。「親から110万円、祖父母から110万円なら計220万円まで非課税」とはなりません。
| 2026年中の受取例 | 課税計算の対象額 | ポイント |
|---|---|---|
| 父から100万円 | 0円 | ほかに贈与がなければ暦年課税の範囲内 |
| 父から100万円+母から100万円 | 90万円 | 受贈者単位で合計200万円、そこから110万円を控除 |
| 祖父から150万円 | 40万円 | 税額は受取人の年齢・続柄などで判定 |
上表は現金の贈与だけで、他の贈与・特例・相続時精算課税の選択などがないという仮定です。課税計算の対象額がそのまま納税額になるわけではありません。
出典:国税庁 No.4410「複数の人から贈与を受けたとき」
受け取った金額で贈与税はいくら変わる?2026年の比較表
暦年課税の基本的な計算式は次のとおりです。
特例税率は、その年の1月1日時点で18歳以上の受贈者が、父母・祖父母など直系尊属から贈与を受ける場合の税率です。兄弟間、夫婦間、直系尊属以外からの贈与などは原則として一般税率です。
| 年間受取額 | 一般税率の税額 | 特例税率の税額 |
|---|---|---|
| 100万円 | 0円 | 0円 |
| 110万円 | 0円 | 0円 |
| 150万円 | 40,000円 | 40,000円 |
| 300万円 | 190,000円 | 190,000円 |
| 500万円 | 530,000円 | 485,000円 |
| 1,000万円 | 2,310,000円 | 1,770,000円 |
当サイト独自計算。受贈者が1年間に一般贈与財産または特例贈与財産のどちらか一方のみを受け取り、ほかの特例・税額控除がない暦年課税の例。個々の事情で税額は変わります。金額は円単位で表示。
例:親から500万円をもらった22歳の会社員
その年の1月1日に22歳、実の親から現金500万円を受け取り、ほかの贈与はなく、暦年課税を適用すると仮定します。
390万円 × 15% − 10万円 = 48万5,000円
年初時点22歳・実親からの贈与・暦年課税・ほかの贈与なし、という条件での参考税額です。
このケースでは特例税率を使います。対照的に、兄弟から500万円をもらう一般税率のケースでは53万円です。双方を混ぜて受け取った場合は按分計算が必要で、単に安い方の税率を全額に使うことはできません。
出典:国税庁 No.4408(両方の税率にまたがる場合の計算方法も掲載)
受取額別の税額早見表と、自分でできる簡単な計算方法
受け取った金額だけで税額は決まりません。贈与した人との関係や受け取った人の年齢によって税率が異なるため、早見表と次の手順を使って確認しましょう。
- 1月1日から12月31日までの贈与額を「受け取った人ごと」に合計します。
- 暦年課税の基礎控除110万円を差し引き、課税価格を求めます。
- 受贈者の年齢・贈与者との続柄を確認し、国税庁の一般税率または特例税率の速算表を参照します。
- 課税価格に該当する税率を掛け、速算控除額を引きます。両方の税率区分が混在する場合は按分計算が必要です。
例:父から500万円(年初時点22歳) (500万円-110万円)×15%-10万円=48万5,000円。一方、兄弟から500万円の贈与では一般税率により53万円となります。
この早見表は、現金のみの贈与で、一般贈与財産のみ・特例贈与財産のみをそれぞれ受け取った場合の独自試算です。実際の計算では不動産などの財産評価や相続時精算課税、贈与税の特例が関係することがあります。個別の申告は税務署・税理士に確認してください。
110万円を超えても非課税になることがある?生活費・教育費の条件
国税庁は、親子・夫婦・兄弟姉妹などの扶養義務者から、通常必要と認められる生活費や教育費を必要な都度受け取り、直接支払う場合は、贈与税がかからないと説明しています。
| 例 | 判断の方向性 |
|---|---|
| 親が子の学費を、その都度必要額を支払う | 通常必要な教育費として非課税となる可能性 |
| 親が生活費として必要額をその都度渡し、家賃・食費等に使う | 通常必要な範囲で非課税となる可能性 |
| 「生活費」として数年分を一括送金し、使わず貯金する | 生活費に使わなかった部分は贈与税の対象となり得る |
| 「教育費」として受け取ったお金を投資信託の購入に使う | この生活費・教育費の非課税扱いには原則該当しない |
見落としやすい3つの注意点
1.「毎年100万円を10年間」も、契約の仕方で変わる
その年ごとに贈与契約が成立し、各年の贈与合計が110万円以内なら通常は贈与税の基礎控除内です。一方、最初から「10年間にわたり毎年100万円をもらえる」と約束された契約なら、定期金に関する権利を一度にもらったものとして扱われる可能性があります。
2.110万円以下でも、将来の相続税計算に影響することがある
相続や遺贈で財産を取得する人が、亡くなった人から一定期間内に暦年課税で財産を受け取っていた場合、その贈与財産が相続税の課税価格に加算されることがあります。2026年中に相続が開始する場合は原則として相続開始前3年以内が対象です。2027年1月1日〜2030年12月31日に相続が開始する場合は、2024年1月1日から亡くなった日までに受けた贈与が対象となり、加算期間が段階的に延びます。2031年1月1日以後の相続開始では、原則として相続開始前7年以内です。
なお、延長された期間(相続開始前3年より前)に受けた贈与は、相続開始日が2027年1月2日以後の場合、その合計額から100万円までは加算されません。
「贈与税が0円だったから相続税にも絶対関係しない」は誤り。加算対象者や対象期間などの条件を確かめてください。
出典:国税庁 No.4161
3.「相続時精算課税の110万円」は別制度
相続時精算課税にも2024年以降、年間110万円の基礎控除があります。しかし暦年課税とは計算方法や相続時の取扱い、手続きが異なり、選択には年齢・続柄などの要件があります。同じ110万円でも仕組みを混同しないことが重要です。制度を選択する場合は期限内の届出要件に注意してください。
出典:国税庁 No.4103
2026年に贈与を受けたときの申告・納付までの流れ
暦年課税で課税対象となる贈与を受けた場合、原則として受け取った年の翌年2月1日〜3月15日に贈与税を申告・納付します。2026年の贈与であれば、通常は2027年2月1日〜3月15日が対象です(法令上の休日延長・個別延長などがある場合は別)。
- 1年間の受取履歴をまとめる:誰から、いつ、どの財産を、いくら相当もらったか整理する。
- 課税方式・税率を確認:暦年課税か相続時精算課税か、一般税率か特例税率かを判定する。
- 申告の要否を確認:非課税規定・基礎控除を適用し、申告要件を確認する。
- 申告・納付:必要な場合はe-Tax等で申告し、期限までに納税する。適用する特例に必要な添付書類も確認する。
期限を過ぎると加算税や延滞税が生じる場合があります。贈与税額が多額で一度に納められない場合には、一定要件で延納が認められる制度もありますが、手続きと許可が必要です。
よくある質問
Q. 両親からそれぞれ100万円もらったら税金はゼロ?
同じ年に両親から100万円ずつ、計200万円を受け取った場合、暦年課税の基礎控除110万円を差し引いた90万円が課税計算の対象です。ほかの贈与・特例がないと仮定すると税率10%で贈与税は9万円です。
Q. 親から150万円もらったとき、150万円全部に税金がかかる?
暦年課税の基本計算では、110万円を差し引いた40万円に課税されます。一般・特例いずれも課税価格40万円の税率は10%なので、仮定条件で税額4万円です。
Q. 110万円以内なら申告書は必ず不要?
暦年課税でその年の贈与の合計が110万円以下なら原則申告不要です。ただし、相続時精算課税を新たに選択する場合の届出や、特例を受けるための手続きなど、別途必要になる場合があります。
Q. 会社から現金をプレゼントされた場合も贈与税?
法人からの贈与は贈与税ではなく、原則として所得税の対象です。受取理由や性質によって所得区分などが異なるため、個別に確認してください。
この次に読むなら
- 給与明細の見方まとめ
税金・社会保険料の記事を項目と月から探す - 生活防衛資金はいくら必要?
もらったお金をどう残すか、まず手元資金を決める - 毎月1万・3万・5万円を積み立てたら20年後いくら?
長く備えるお金の試算(元本割れの可能性もあります)
まとめ|まず確認したい3つ
- 贈与された額を年単位で合算:贈与者が複数でも自分の年間受取額を確認する。
- 税率区分と非課税条件を確認:18歳以上の直系尊属からの贈与か、生活費・教育費に該当するかを分けて検討。
- 翌年の申告期限と相続への影響を確認:多額の贈与や相続が近い場合は税務署・税理士に相談する。
贈与税の基礎控除110万円は、給与にかかる所得税の基礎控除とは別の制度です。会社員の税金については2026年の年末調整と基礎控除や、新卒の国民年金と社会保険料控除の記事も参考にしてください。
公的な一次情報・確認日
情報確認日:2026年10月11日(相続税への加算期間の説明は2026年10月25日に確認・追記、10月27日に暦年課税の110万円が受け取る人ごとであることを国税庁で再確認)/主に国税庁「令和8年4月1日現在法令等」の解説に基づき作成。下記はすべて国税庁の公式資料です。
- No.4402 贈与税がかかる場合
- No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
- No.4410 複数の人から贈与を受けたとき
- No.4405 贈与税がかからない場合
- No.4402 贈与税がかかる場合 Q&A
- No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
- No.4103 相続時精算課税の選択
- No.4429 贈与税の申告と納税
編集上の注意:本記事は一般向けの制度解説であり個別の税務アドバイスではありません。掲載した計算例は仮定に基づく参考試算です。税制・特例の変更、資産の評価、相続の状況によって結論が変わるため、実際の申告時には国税庁の最新情報をご確認ください。