社会人2年目、昇給しても住民税などで手取りが減る理由と賞与を解説するアイキャッチ

「新卒2年目になったら給料は上がるはず」と思っていたのに、振込額を見たらほとんど変わらない。6月には、むしろ手取りが減った。そんなときは、基本給と給与明細の控除欄を分けて見ると、理由が分かります。

社会人2年目の給料は、昇給しても手取りが増えるとは限りません。主な理由は、前年の所得をもとにした住民税の天引きが、通常は2年目の6月から始まるためです。

  • 額面の給料:昇給の有無・時期・金額は会社の制度や評価による。
  • 毎月の手取り:住民税や社会保険料の変化で、昇給分より控除が増えることがある。
  • 年間の収入:1年目より給与の支払月数や賞与が増え、月の手取りと違う動きをすることがある。

この記事では、2026年4月入社の人が、2027年に社会人2年目を迎えるケースで整理します。月給25万円・30万円の住民税の試算と、3年目にもう一段負担が増える例も紹介します。

情報確認日:2026年10月11日(10月27日に税率・控除額を再確認)。試算は条件を固定した説明用の例です。実際の税額は、所得・控除・居住自治体などにより異なります。

社会人2年目の給料はどれくらい上がる?

2年目になっただけで、全員の基本給が同じ金額だけ上がるわけではありません。まずは雇用契約書・労働条件通知書・就業規則の賃金規程で、昇給の時期、評価の対象期間、基本給と手当の内訳を確認しましょう。

会社で定めた条件を満たす場合などを除き、「入社2年目は必ず月額○円アップ」という全国共通の決まりはありません。昇給や賞与の扱いは、厚生労働省の労務管理Q&Aでも、契約・就業規則などとの関係が説明されています。

定期昇給・ベースアップ・手当の変更を分ける

  • 定期昇給:勤続年数や評価など、会社の賃金制度に沿った昇給。
  • ベースアップ:給与の水準自体を引き上げるもの。対象者や配分は会社による。
  • 手当の変更:住宅手当、資格手当などの増減。基本給が増えても、別の手当が減れば総支給額はあまり変わらない。

ニュースで見る「平均賃上げ額」が、そのまま自分の昇給額になるとは限りません。また、翌年入社する新卒の初任給が上がっても、在籍社員の給与が自動的に同額だけ上がるとは限らないため、自分の給与改定通知で確認する必要があります。

ボーナスが増えても、毎月の手取りとは別に考える

新卒1年目の夏の賞与は、査定期間の在籍日数が短いことなどから、少額になる会社もあります。2年目に査定期間の全期間が対象となれば、支給額が増える可能性があります。ただし、支給の有無・査定・業績・在籍要件によるため、必ず増えるわけではありません。

また、4月入社の1年目と2年目では、暦年の給与の支払月数も違います。年間収入が増えた理由が、基本給の上昇なのか、支払月数や賞与の違いなのかを分けて見ると、家計の見通しを立てやすくなります。

賞与が「寸志」から増えると、年収はどれくらい変わる?

例えば、月給25万円は変わらず、入社1年目の夏の賞与が5万円、冬が40万円、2年目は夏30万円・冬30万円だったと仮定すると、賞与の総額は次のように変わります。

支給時期1年目(2026年)2年目(2027年)
夏の賞与5万円30万円
冬の賞与40万円30万円
年間賞与45万円60万円
前年からの差―+15万円
賞与60万円=手取り60万円ではない

賞与からは原則として所得税や健康保険・厚生年金保険料、雇用保険料などが差し引かれます。一方、毎月の給与から特別徴収する住民税は、通常の賞与から直接差し引きません。ただし、賞与もその年の給与収入に含まれ、翌年度の住民税計算に影響します。

これは賞与制度を説明するための仮定であり、新卒2年目の平均支給額ではありません。賞与の所得税は国税庁 No.2523、住民税の給与からの徴収は埼玉県の特別徴収の案内を参照してください。

2年目の手取りは、4月・6月・秋を分けて確認

給料が変わるタイミングと、税金・社会保険料が変わるタイミングは一致しません。2026年4月入社なら、次の順番で確認します。

2026年4月入社の場合
時期起こり得る変化確認するもの
2026年・1年目前年の学生時代の所得によっては、すでに住民税がかかる2025年の収入と住民税の通知
2027年4月ごろ会社の制度により昇給・手当の変更給与改定通知、基本給、固定手当
2027年6月2026年の所得に対する住民税の天引きが始まる・切り替わる住民税の税額決定通知書
2027年9〜10月ごろ定時決定による社会保険料の変更が給与明細に反映されることがある健康保険料、厚生年金保険料
2028年6月・3年目2027年の通年の所得をもとに住民税が切り替わる前年との年税額の差

住民税は「前年1〜12月の所得」に対してかかる

給与からの住民税の特別徴収は、通常、6月から翌年5月までです。2027年6月からの分は、2026年1〜12月の所得をもとに決まります。入社後だけでなく、入社前の1〜3月に受け取った課税対象のアルバイト給与なども関係します。

課税するのは原則としてその年の1月1日に住んでいた自治体です。引っ越した直後でも、以前の自治体からの通知になる場合があります。納付時期と住所の扱いは、さいたま市「市民税・県民税の納付方法」、「市民税・県民税の課税」で確認できます。

秋は健康保険・厚生年金の控除欄も確認する

健康保険・厚生年金の標準報酬月額は、原則として4〜6月の報酬をもとに定時決定され、9月から翌年8月まで適用されます。給与から控除する月は会社の運用によるため、明細への反映は9月・10月などに分かれます。昇給に伴う随時改定など、別のタイミングで変わる場合もあります。

出典:日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」。残業との関係は、9月・10月に社会保険料が上がる理由で詳しく整理しています。

2年目の住民税はいくら?月給25万円・30万円で試算

住民税は「今の月給の何%」と単純には決まりません。前年の給与・賞与から給与所得を計算し、社会保険料控除や基礎控除などを差し引いたうえで税額を求めます。

この表の計算条件
  • 2026年4月入社。2026年中に4〜12月の9か月分の給与と、表に記載した賞与を受け取る。
  • 独身・扶養なしの成人。入社前のアルバイト収入や副収入はない。給与収入に非課税の通勤手当は含めない。
  • 2027年1月1日時点でさいたま市に居住。基礎控除・社会保険料控除・調整控除以外の控除はない。
  • 社会保険料控除は、実際の保険料率から算出したものではなく、下記の仮定額を使う。
  • 所得割10%、均等割4,000円、森林環境税1,000円で計算。以下の「住民税等」には森林環境税を含む。
2027年6月からの住民税等の試算
項目月給25万円の例月給30万円の例
2026年中の給与(月給×9か月)225万円270万円
2026年中の賞与総額45万円60万円
給与収入の合計270万円330万円
給与所得控除後の給与所得181万円223万円
社会保険料控除(仮定)41万円50万円
住民税の基礎控除43万円43万円
課税所得97万円130万円
住民税等の年額99,500円132,500円
年額÷12の月平均約8,300円約11,000円

月平均は比較用の概算です。実際の天引き額は端数処理などにより月ごとに異なり、毎月この金額になるという意味ではありません。確定額は税額決定通知書で確認してください。

月給25万円の例は、どのように計算した?

  1. 給与所得:270万円×70%−8万円=181万円
  2. 課税所得:181万円−41万円−43万円=97万円
  3. 所得割:97万円×10%−調整控除2,500円=94,500円
  4. 住民税等:94,500円+均等割4,000円+森林環境税1,000円=99,500円

さいたま市の税率は市民税8%・県民税2%で、表では合算しています。この例では、基礎控除に係る人的控除差5万円に対する調整控除が2,500円になります。計算は給与所得の算出方法、所得控除、調整控除、税額の計算方法、森林環境税に基づいています。

2026年の税制改正との関係

2027・2028年度の住民税では、給与収入220万円以下の給与所得控除の最低保障額が74万円になります。一方、今回の給与収入270万円・330万円の例は220万円を超えるため、その変更の影響はありません。住民税の基礎控除は43万円のままです。所得税の基礎控除と混同しないようにしましょう。

出典:吹田市「個人市・府民税の改正(令和9年度〜)」、国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等」。

自分の年収に近い別のケースを見たい場合は、年収300万・400万・500万・600万円の住民税の比較も参考になります。各記事の対象年と計算条件を合わせて確認してください。

3年目の6月にも手取りが減ることがある

2年目の住民税は、通常、入社1年目の収入をもとに計算します。4月入社で同年中に9か月分の給与を受け取った人は、まだ丸1年分の給与ではありません。

3年目の住民税は、2年目の1〜12月の収入が基準です。基本給が同じでも、給与の支払月数が9か月から12か月になり、賞与も増えれば、課税対象の所得が増えることがあります。

月給25万円を据え置いた場合の比較例
項目2年目の住民税等3年目の住民税等
計算のもとになる収入年2026年(入社1年目)2027年(入社2年目)
給与と賞与の合計25万円×9か月+45万円=270万円25万円×12か月+60万円=360万円
社会保険料控除(仮定)41万円54万円
給与所得/課税所得181万円/97万円244万円/147万円
年額/月平均99,500円/約8,300円149,500円/約12,500円

その他の条件は前の表と同じです。3年目は、給与所得244万円から社会保険料54万円・基礎控除43万円を引き、147万円×10%−2,500円+5,000円=149,500円と計算しています。

この仮定では、月平均の負担がさらに約4,200円増えます。昇給を見込んだ予測ではなく、支払月数と賞与の違いを示す例です。2年目の住民税だけを基準にして、3年目以降の固定費を増やしすぎないことが大切です。

給与明細では「増えた給料」と「増えた控除」を比べる

振込額だけを見ても、原因は分かりません。比較する月の給与明細を並べて、次の順番で差額を確認しましょう。

  1. 基本給:給与改定通知どおりに増えているか。
  2. 固定手当:住宅・資格・勤務地などの手当が変わっていないか。
  3. 残業代:働いた時間の違いで総支給額が変わっていないか。
  4. 住民税:6月からいくらになったか。税額決定通知書と合っているか。
  5. 社会保険料:健康保険・厚生年金・雇用保険がそれぞれどう変わったか。
  6. 所得税とその他の控除:税額、社宅費、組合費、財形などに変化がないか。
  7. 精算分:通勤費のまとめ支給や立替経費の精算を、通常の給料に混ぜて比べていないか。
手取りの差額の見方

手取りの増減=総支給額の増減−社会保険料の増減−所得税の増減−住民税の増減−その他の控除の増減

例えば、ほかの支給項目が同じで、昇給が月5,000円、住民税の増加が月10,000円、その他の控除の増加が合計月1,000円なら、手取りは月6,000円減ります。

これは差額の仕組みを示す仮定の例で、前の住民税試算と同じ条件の給与計算ではありません。

生活費は「残業が少ない月の手取り」で組む

2年目を迎える前に、住民税が始まった後の手取りを仮置きして、家賃・通信費・毎月の積立を確認しておきましょう。残業代や賞与が多い月に合わせて固定費を増やすと、通常月が苦しくなりやすくなります。

まずは5〜6月ごろに届く税額決定通知書の月額を確認し、その分だけ毎月使えるお金を見直します。通知前なら、今回の条件付き試算を参考に仮の予算を作り、確定額に置き換える流れが現実的です。

家計を組み直すときは、手取り20万・25万・30万円の一人暮らしの生活費と貯金額も参考にしてください。給料が増えてもお金が残らない場合は、昇給後の手取りと支出を比べる方法で、控除の増加と支出の増加を分けて確認できます。

社会人2年目の給料についてよくある質問

住民税は2年目の4月から引かれる?

給与からの特別徴収では、通常は6月に新しい年度の税額へ切り替わります。4月の給与改定とは別です。普通徴収の人や転職した人などは扱いが異なるため、自分の通知書で確認しましょう。

新卒1年目は、住民税が必ずゼロになる?

必ずゼロではありません。前年の学生時代のアルバイトなどで課税対象の所得があれば、1年目から住民税がかかることがあります。「新卒だから非課税」ではなく、前年の所得や控除などで決まります。

昇給したのに手取りが減っていたら、会社の間違い?

住民税や社会保険料、残業代などが変わった可能性があります。まず明細の差額を確認し、給与改定通知や税額決定通知書と合わない場合は、該当する項目と金額を添えて給与担当に問い合わせましょう。

2年目のボーナスは必ず満額もらえる?

会社の規程、査定期間、評価、業績、在籍要件などによります。「満額」が何を意味するかも会社によって違うため、賞与の計算方法と対象期間を確認してください。

2年目の給料は、基本給・月の手取り・年収を分けて把握しよう

新卒2年目で最初に確認したいのは、昇給後の基本給、6月以降の住民税、年間の賞与見込みの3つです。毎月の手取りが減っても、年間収入まで減ったとは限りません。

給与明細と税額決定通知書を並べれば、何が増減したかを確認できます。3年目の住民税の変化も見越しながら、通常月の手取りで無理なく続けられる生活費と貯金額を決めていきましょう。

本記事は一般的な制度と条件付きの試算を説明しています。個別の税額は自治体、給与・賞与の取扱いは勤務先に確認してください。

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