「退去費用10万円、全部払う?敷金はいくら戻るのか、具体例で解説」の記事のアイキャッチ画像
NEXT STEP LOG / MONEY & LIFE

退去費用10万円、全部払う?
敷金がいくら戻るか、まず計算しよう。

請求書の合計だけで判断せず、「何の費用か」「誰が負担するか」「敷金をいくら預けたか」を分けると、確認すべき点が見えてきます。

情報確認日:2026年9月24日 / 金額例はすべて説明用の仮定

先に結論。通常の使用や時間の経過で生じた傷みは、原則として借主の原状回復費用に含まれません。一方、借主の不注意による損傷や、内容に合意した有効なクリーニング特約は、負担が生じることがあります。敷金の返金額=預けた敷金−未払い賃料など−借主が負担すべき費用。内訳を見ずに「退去費用の相場」だけで決めることはできません。国土交通省のQ&Aをもとに整理します。

敷金8万円を預けた場合、いくら戻る?

ここからの金額は相場や実際の見積もりではなく、計算の仕組みを理解するための架空の例です。未払い賃料・共益費・その他の債務はないものとします。清掃特約3万円は、内容と金額が明確で有効に合意されていた場合だけを仮定します。壁の傷の補修費1万2,000円も、借主の過失による損傷で、補修範囲・経過年数などを確認した後の借主負担額という仮定です。

仮のケース預けた敷金借主負担の内訳返金/追加支払い
A:通常使用による傷みだけ80,000円0円80,000円返金
B:有効な清掃特約あり80,000円清掃30,000円50,000円返金
C:Bに借主の過失による傷もある80,000円清掃30,000円+補修12,000円38,000円返金
D:敷金0円、Cと同条件0円計42,000円42,000円支払い

同じ部屋でも「敷金0円か8万円か」で退去時に新たに用意する金額は変わります。ただし敷金0円だから修繕費が高くなる、という計算ではありません。敷金は精算に使う預け金です。実際には未払い賃料なども差し引かれ得ます。国交省Q6・Q17。

この請求、誰が負担する?

国土交通省の原状回復ガイドラインは、通常損耗や経年変化と、借主の故意・過失などによる損傷を分けて考えます。賃貸契約は特約の内容も重要なので、次の表は一般的な確認の出発点です。

請求の例基本的な考え方確認すること
日光による壁紙の色あせ、通常使用による傷み原則、貸主負担入居時の状態と写真
借主の不注意で壁紙に大きな傷借主負担となり得る原因、補修の必要範囲、経過年数
次の入居者のための通常の清掃原則、貸主負担。ただし有効な特約に注意特約の内容・範囲・金額と合意
清掃を怠って広がったカビや汚れ借主負担となり得る発生原因、補修箇所と費用

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」、同Q&A(Q3・Q5・Q7・Q16)。実際の負担は契約内容、損傷の原因、補修内容などによります。

「敷金から引かれた=正しい」とは限りません。貸主には差し引く費用の説明が求められ、借主は明細と根拠の説明を求められます。反対に「清掃代は必ず払わなくていい」とも言えません。具体的な清掃特約が有効と判断された例もあります。国交省Q16・Q17。

6年以上住んだら、クロス代は必ず0円?

「6年住んだらどんな損傷でも0円」とは言い切れません。クロスなどは経過年数による価値の低下を考える対象ですが、張替えの費用すべてが自動的に0円になるという意味ではありません。借主が傷を付けた場所、必要な補修範囲、工事費用の内訳を確認します。通常の色あせなどなら、そもそも借主の過失による修繕とは分けて考えます。詳しい考え方はガイドライン第1章とQ7・Q13を参照してください。

たとえば請求が「クロス全面張替え10万円」でも、その全額が借主負担と決まるわけではありません。一部の損傷に対し全面施工が必要だったのか、経過年数をどう考えたのか、施工費を含む見積もりかを管理会社に尋ねてください。ここから一律に何万円減るかは計算できません。

請求書が来たら確認する5点

  1. 契約書・特約:クリーニング代、鍵交換、原状回復について、内容と金額がどう書かれているか。
  2. 入退去時の記録:傷や汚れがいつできたか。写真とチェックリストを照らす。
  3. 精算明細:費目、数量、単価、補修範囲、借主負担額が分かれているか。
  4. 敷金の計算:預けた敷金、未払い賃料など、差引額、返金・追加請求額が合うか。
  5. 説明の根拠:納得できない項目は、なぜ借主負担かを管理会社へ書面で尋ねる。
確認の文例:「退去時の精算書を確認しました。クロス張替えについて、損傷箇所の写真、補修範囲、単価、経過年数を考慮した借主負担額の算定根拠をご教示いただけますか。清掃費については、契約書の該当する特約も併せて確認したいです。」

話し合っても解決しないときは、国民生活センターの相談案内を確認し、消費生活センター等に相談する方法もあります。国民生活センターは2025年度の賃貸住宅に関する相談を14,711件と公表しています。これは退去費用の全国平均額を示す数字ではありません。

よくある疑問

立ち会いでサインしたら、後から確認できない?

何についてサインしたかによります。損傷の存在を確認しただけなのか、負担まで了承したのかを文面で確認しましょう。国交省Q14も、両者を区別しています。

敷金なしなら、退去費用もなし?

いいえ。敷金がなくても、契約に基づく費用や借主が負担すべき損傷があれば、退去時に支払いが生じ得ます。一方、敷金を預けていても、全額が戻るとは限りません。

退去費用は家賃の何か月分が普通?

部屋の状態や契約が違うため、家賃だけから適正額を判定できません。見積もりの総額より内訳を見る方が実用的です。請求が高い・安いと感じたときも、項目ごとに確認してください。

まとめ:まず「敷金−借主負担額=返金額」を計算。次に借主負担とされた各項目について、原因・補修範囲・経過年数・特約を確認しましょう。根拠が分からない費用は明細を求めることから始められます。

家計の中で引っ越し費用をどう備えるかは、関連記事生活防衛資金の計算例と、手取り別の生活費モデルも参考にしてください。

参照元(2026年9月24日確認)

本記事は一般的な情報です。個別の契約条件や事実関係によって精算結果は異なります。

記事の先頭へ ↑

この次に読むなら

Next Step Log運営者。会社員として働きながら、20〜30代の社会人に向けて、給料、税金、社会保険、貯金、資産形成、転職について、国税庁・日本年金機構・厚生労働省などの一次情報を確認して解説しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です